犬は肉食性雑食といわれますが、オオカミを祖先に持つ犬は、犬歯が発達していますので、より肉食に近いものです。何でも食べてはくれますが、穀物をすりつぶして食べるための臼歯は発達しておらず、消化するための酵素もほとんど持ってはいません。
そのような特性からみて穀物不使用のドッグフードは、犬の食性に近い優れたものといえます。
犬が自然の中で穀物を摂取するのは、捕らえた獲物を食べるとき、胃や肝臓などの内臓を先に食べます。栄養が豊富であることと肉よりも傷みやすいからです。胃の中には未消化で残った穀物や植物があり、これを一緒に食べます。含まれている量はわずかなものですから、穀物を消化するための消化酵素はそれほど必要ではありません。人は、穀物を消化するために唾液腺からアミラーゼが分泌されますが、犬は分泌されません。また、消化吸収されるための腸内細菌は人では腸内容物1gに対し約1000万個あるのに対して、犬では約1万個しかありませんので、消化も苦手としています。普段の食事で消化に時間のかかる食物繊維などをほとんどとることがないため、腸も短くなっています。
犬の身体を作るのも、エネルギー源もタンパク質ですから、肉をメインとした穀物不使用のドッグフードは理にかなったものです。犬は人の約4倍のタンパク質が必要です。筋肉や内臓、皮膚、ホルモン、血液など、体中の器官や組織を作りますので、良質なタンパク質を大量に摂取することは大切なことです。
ただし、現在は野生ではなく、人のパートナーとして飼われているため、運動量は少なくなり、きちんと食事ができるようになっています。ですから、穀物不使用のドッグフードが優れていても与え方には注意が必要です。過剰に摂りすぎると脂肪として蓄えられ、肥満の原因ともなり、腎臓にも負担をかけます。適切な量を管理してあげましょう。
また、穀物を含んだドッグフードが一概に悪いということもありません。
例えば、大豆はそのままでは消化の悪いものですが、豆腐や納豆に加工されたものは消化性に優れた良質のタンパク源です。同様に、ドッグフード自体が犬にとって必要な栄養素を体中に吸収されやすいように加工されたものです。愛犬のために、身体に合ったものを選んであげましょう。